注文住宅を建てる際には最低限の知識を持っていないと、営業トークに流されて本来望んでいた家づくりとは違う方向に進んでしまう可能性があります。住宅業界には良心的な企業もある一方で、知識の乏しい施主を狙った悪質な営業が存在するのも事実です。
本記事では、住宅性能や建材、建築方法に関する基本的な知識をまとめました。これらを理解し、必要に応じてさらに深く調べることで失敗のない家づくりを目指しましょう。
住宅業界の実情と知識の必要性
例えば、車を購入する際に、燃費、馬力、車重、駆動方式などを調べる人もいれば、見た目や価格だけで決める人もいます。車の場合は最悪乗り換えが可能ですが、住宅は一生に一度の大きな買い物です。そのため、知識の有無が快適な生活に直結します。
- 「えっ、なんで乾太くん導入しなかったの?」
- 「そんなに加湿したら壁内結露するよ」
- 「今月も売電収入ウマウマです(笑)」
- 「無暖房で冬を乗り切れます!!」
- 「C値 0.1切れない家は欠陥住宅www」
このような情報に振り回されることなく、自分にとって本当に必要な知識を身につけましょう。
注文住宅で押さえておきたい用語一覧
ここでは、注文住宅を建てる際に最低限知っておきたい用語をまとめました。各項目には簡単な補足説明を添えていますが、気になる内容はぜひ掘り下げて調べてみてください。細かい計算方法や製品仕様を暗記する必要はなく、必要なときに検索して理解できる知識を身につけることが大切です。
住宅性能
断熱性能
- 断熱等級:住宅の断熱性能を示す基準。
- UA値(外皮平均熱貫流率):低いほど断熱性能が高い。
- Q値(熱損失係数):小さいほど断熱性が高い。
- HEAT20:断熱グレード(G1, G2, G3)で住宅の快適性を評価。
気密性能
- C値(相当隙間面積):低いほど気密性が高い。
耐震性能
- 耐震等級:耐震性能の基準(1〜3等級)。
- 構造計算:建物の強度を計算。
- 壁量計算:耐力壁の必要量を算出。
- 許容応力度計算:建物全体の強度を詳細に計算。
屋根材
- スレート屋根(コストが低く軽量)
- アスファルトシングル(コストが低く軽量)
- ガルバリウム鋼板(非常に軽量で耐久性が高い)
- 瓦屋根(耐久性、断熱性、遮音性が高い)
外壁材
- サイディング(コストが低い)
- モルタル(塗装仕上げで独特の質感が出せる)
- タイル(耐久性が高くメンテナンスフリー)
- 金属サイディング(軽量で地震に強い)
- 木質系外壁(自然な風合いを楽しめるがメンテナンスが必要)
空調・換気
- 24時間換気:常に空気を循環させる仕組み。
- 第一種換気:給気・排気ともに機械制御。
- 熱交換型:排気の熱を再利用。
- 第二種換気:機械で給気、自然排気。
- 第三種換気:自然給気、機械排気。
- 第四種換気(パッシブ換気):空気の流れを自然に利用。
断熱材の種類
- グラスウール(施工精度と密度が重要)
- ロックウール
- フェノールフォーム
- 吹付ウレタンフォーム
- 硬質ウレタンフォーム
- 押出法ポリスチレンフォーム
- ビーズ法ポリスチレンフォーム
- セルロースファイバー
窓・建具
窓・サッシ
- アルミサッシ
- アルミ樹脂複合サッシ
- 樹脂サッシ
- 木製サッシ
- シングルガラス / ペアガラス / トリプルガラス
- Low-Eガラス(赤外線・紫外線カット)
- アルゴンガス・クリプトンガス(断熱性能向上)
- U値(熱貫流率)(低いほど断熱性能が高い)
玄関ドア
- 開き戸(片開き・親子扉・片袖扉・両開き)
- 引き戸(2枚引き違い・4枚引き違い・片引き・両引き)
- スマートキー対応ドア
省エネ基準
- 省エネ基準地域区分(地域ごとの断熱基準)
- 一次エネルギー消費量(省エネ性能の指標)
- ηAC値 / ηAH値(冷暖房効率)
- BEI(建築物エネルギー消費性能)
補助金関連
- ZEH(ゼロエネルギーハウス)補助金
- ZEH / ZEH+(エネルギー収支ゼロを目指す住宅)
- 子育てグリーン住宅支援事業
- ZEH水準住宅 / 長期優良住宅 / GX志向型住宅
建築設計・デザイン
- 基本設計 / 実施設計(設計段階の違い)
- パッシブデザイン(自然の力を活かす設計)
- 日射取得・日射遮蔽(日射コントロール)
- ゾーニング(部屋の配置計画)
土地関連
- 地盤調査(地盤改良が必要か確認)
- セットバック(道路拡幅のための敷地後退)
- 用途地域(建築できる建物の制限)
建築に関する法規制
- 建築基準法(最低限の安全基準)
- 容積率・建ぺい率(建物の大きさ制限)
- 斜線制限(建物の高さ制限)
- 防火地域・準防火地域(建材の規制)
まとめ
住宅展示場を回ったり資料請求をされた方なら、これまで紹介した用語に馴染みがあるかもしれません。
注文住宅を建てる際には、基本的な知識を身につけることが非常に重要です。本記事で取り上げた用語を理解し、必要に応じてさらに深掘りすることで、理想の家づくりに一歩近づけます。得た情報を賢く活用し、納得のいく住まいを実現させましょう。