※この記事は適宜加筆修正予定です
1. はじめに
30坪の平家におけるスマートホームのネットワーク構成とIoT機器の導入について、実際の運用を想定した設計メモとしてまとめます。以下の方針をもとに構成しています:
- Wi-Fi中心運用を前提としつつ、有線LANも併用できる設計
- Cat.6ケーブル + PF管(22mm)で将来の交換を前提とした柔軟な配線
- PF管配線によって、拡張性とメンテナンス性を確保
- リビングはプロジェクタ中心の構成、有線LAN接続を基本とする
- Home Assistantは導入可能性を残しつつ、基本的には利用しない方針
2. ネットワーク構成
基本構成図
[光回線] → [ONU] → [ルーター①(ファミリークローゼット)]
↓(壁内LAN配線)
[ルーター②(寝室クローゼット、APモード)]
主要設置場所と配線
デバイス | 配線 | 備考 |
---|---|---|
ONU・ルーター・ハブ・NAS | 有線 | ファミリークローゼット上部に集約 |
各部屋のLANコンセント | Cat.6 | 有線機器接続 or 必要時にAP |
リビング(プロジェクタ) | 有線 | ストリーミング・NAS連携用 |
書斎 | 有線 | 在宅勤務対応 |
子供部屋 | 有線(通線済) | 節約額が小さいため最初から配線済みとする |
無線LAN設計
本構成では、住宅全体をエリアA(書斎・子供部屋)とエリアB(LDK・寝室)に大きく2分割した際、それぞれの中心にあたるファミリークローゼットと寝室クローゼットにルーターを設置します。これらを壁内のLAN配線で有線接続し、寝室側はアクセスポイントモードで運用することで、有線バックホールによる複数アクセスポイント構成を構築しています。
本構成は、メッシュWi-Fiではなく有線LANで接続された複数のアクセスポイントを用いる構成です。SSIDを統一することでシームレスな移動が可能であり、通信の安定性・速度の面でも非常に優れています。特に有線バックホールによって、中継による速度低下がなく快適な通信環境が構築できます。
3. LAN配線とケーブル仕様
- 採用ケーブル:Cat.6(10Gbps/~55m)
- 一般的にCat.6ケーブルで10Gbps通信が安定して利用できるのは、ノイズの少ない環境で最大55m程度とされていますが、他のケーブルや電波による干渉の影響を考慮すると、実質的には37m以内が安全圏とされています。
- 今回の配線では最長でも15m程度のため、外来ノイズの影響も少なく、10Gbps通信においてもほぼ問題の起きる可能性はありません。
- 最大配線長:15m程度
- 将来交換前提でPF管(22mm)を使用
- Cat.6Aを選ばない理由:
- 10Gbps対応は必要十分
- Cat.6の方がちょっと安い
- ケーブルが硬く施工性が落ちる
- 将来Cat.7/Cat.8等が普及した場合も22mm管があれば通線交換で対応可能
4. スマートホームの運用方針
- 基本はAlexa、Aqara、SwitchBotなどの純正アプリを中心に運用
- リビングとダイニングの照明制御や温度管理を主目的とする
- Home Assistantは今後の拡張用オプションとして検討可能だが、現時点では使用予定なし
- Alexaが将来使えなくなった場合でも、SiriやGoogleなど他の音声アシスタントに切り替えることも可能

注意点:
ルイスポールセンの照明器具にスマート電球(Philips Hueなど)を入れる場合、サイズの違いによりフレア(光の拡散のムラ)が発生する可能性があるため、電球サイズを事前に確認し、適切なものを選定する必要がある。
照明や壁スイッチの計画についてはこちら↓

5. リビングのプロジェクタ運用
超短焦点プロジェクタの導入とローカルネットワーク連携
- テレビの代わりに超短焦点プロジェクタを導入し、ローカルネットワークと連携して映像コンテンツを管理
- プロジェクタを投影する壁面は珪藻土のフラット加工仕上げとし、凹凸を避けて映像の歪みを抑える予定
- プロジェクタはLANケーブルで接続し、ストリーミング・NAS連携を安定化
超短焦点プロジェクタを採用する理由
- リビングの壁をスッキリさせ、間取りの自由度を向上
- 大型テレビと同程度の消費電力で省エネ
- 超短焦点モデルなら壁から10cm程度の距離で設置可能
- スマートホームと統合し、シーン設定(映画モード・ゲームモード)を自動化
- ワイヤレスTVチューナーやNASと連携し、ローカルストレージからコンテンツを再生可能

6. 環境モニタリング(SwitchBot 温度・湿度・CO2センサー)

7. お掃除ロボットの導入
選定ポイント
- Matter対応の有無(現在対応機種は少ないが、今後増加予定)
- マッピング機能(LiDAR, カメラ搭載)
- 水拭き機能の有無
- スケジュール管理やゾーン清掃対応
TODO: 機種をいくつか調べておく
8. 工務店に伝えておくべきこと
標準的なもの以外は伝えておく必要がある
- 通線交換を前提にPF管(22mm)を通す
- Cat.6のLANケーブルを使用する(PoE対応にするかは検討)
- ファミリークローゼットにネットワーク機器の設置スペースを確保
- お掃除ロボットの充電ステーション用のスペースと電源の確保
9. その他考慮事項
- 現在すぐにPoE機器を使う予定がなくても、壁内のLAN配線は全てPoE対応にしておくのってどうなん?
10. まとめ
✅ Cat.6+PF管(22mm)による柔軟な配線設計
✅ Wi-Fi 7対応前提の将来設計、ただし有線バックアップあり
✅ ファミクロ+寝室クローゼットの2台AP構成(有線接続)で安定通信を確保
✅ リビングはプロジェクタ + 有線で快適な映像体験を
✅ LANケーブルの交換前提でPF管を活用し、20年後にも対応可能な設計
✅ スマートホームはシンプル運用(Aqara / Alexa / SwitchBot)、Home Assistantは将来用オプションとして温存
📌 この記事は、スマートホームを設計する中で得られた知見を「実用的な備忘録」としてまとめたものです。構成や製品選定の参考になれば幸いです。